就活のよくある風景 3


“ハマるな危険”「就活生」がハマってしまう59の罠で語られている「罠」は具体的にどのようにはまっていくのでしょうか?

友達や先輩の言葉に惑わされて「罠」にハマっていませんか?

ここでは「よくある風景」として罠にはまっている就活生の一場面をご紹介します。

 

 

 

014.「きゃっ、人事のヒト、素敵」の罠 より


――とある日、さとしはあるSler企業の説明会に参加した。「興味はなくても色々と企業を見て回るべき」との太郎のアドバイスに従った故だ。説明会終了後、さとしは引き続き開かれた就活生向けの懇親会に参加し、人事担当者と直接話す機会を得た。

 

さとし:

本日はありがとうございました。いわゆるSE業界の企業の説明会には初めて参加しましたけど、今まで自分が持っていたSEへのイメージがガラッと変わった気がします。

 

人事:

そのイメージはというと、やっぱりSEはブラックだっていうものかい?

 

さとし:

あ、えーと、それは……

 

人事:

はは、隠さなくていいよ。今日の会は選考には何も影響しないからね。SEはブラックだなんて印象はもう周知のものだ。確か「SEのブラックさ」を題材にした小説があるくらいだからね。でも、今は弊社だけではなく、業界全体がそのイメージを払拭しようと、色々な取り組みを始めているんだ。

 

さとし:

はい、今日の説明会でも仰られていたことですね。できる限りの定時退社を促す仕組みづくりとして、作業工程の見直しがあったり、福利厚生制度を充実させたり、女性の産休、育児休暇を取りやすくする雰囲気をつくること……

 

人事:

おお、よく話を聞いてくれたんだね。二時間、慣れないながらも説明をした甲斐があったよ。ありがとう。

 

さとし:

いえ、とても聞きやすくて、わかりやすい説明でした。やはり、実際に働いている人の生の話を聞けると、とてもためになります。……現金ながら、御社への興味も大きく増しました。

 

人事:

ははは!まぁそう焦らないで。説明会でも言ったけど、もしエントリーしてくれたら、後日開催予定のワークショップ形式の就活生向けのイベントに参加できる。家に帰ってじっくり考えて、まだ弊社に興味があったら、どうか参加してみてくれ。その時はさとし君、君のことは今日覚えたから、また会おう。

 

さとし:

はい、ありがとうございます!

 

――オフィスを出てから、さとしは一人で頷いた。

 

さとし:

あの人事の人、爽やかでとてもいい人だな。あんな人が働いていることを考えると、案外、この企業もホワイトかもしれない。SE業界は考えていなかったけど、試しに受けてみようかな!

 

 

皆さんは人事の人と会うと、どのような印象を持ちますか?企業はどんな人を学生にぶつけているか?考えたことありますか?

 

020. 上から読んでも新聞紙、下から読んでも新聞紙 より


――M教授からさりげなく釘を刺されたたいちは、きちんと卒業はしようと改めて思い立ち、大学の図書館で発表の内容を固めていた。ある程度の目途が立ち、図書館を後にしようとすると、新聞を読んでいる学生たちを視界に認めた。

 

たいち:

そういえばウチの大学図書館には学術誌だけじゃなくて新聞も揃ってるんだっけ。見てみよう。……おお、ガーディアンやニューヨークタイムスもあるし……ヨーロッパの新聞もあるな。うわ、アラビア圏の新聞もあるのか!いやこれはさすがにわかんないな。そもそも英字新聞の段階でハードルが高いし……今の俺に必要なのは、日本の新聞かな。

 

――たいちは日本の大手4誌を取り上げた。目を通すうちに、それぞれの新聞が、同じニュースを報道しても、それぞれその取り上げ方が異なっていることに気づく。

 

たいち:

こうして比べて読んでみると、一つのニュースでも、新聞によって見方が違っていて面白いな。そういえば父さんも就活するんなら時事問題の対策に絶対に新聞を読んでおけ、ためになるからって言ってたな。ニュースなんてつまらないと思ってたけど……うん、確かにこれはためになりそう。よし。これからはこうして図書館で新聞を見比べてみて、時事問題対策をしておこう。きっと面接にも役に立つぞ! 

 

 

皆さんは毎日欠かさず、新聞をチェックしていますか?就活を成功するために、新聞を読むべき?

 

017. TOEICするバカ、しないバカ より


――とある文具メーカーの説明会にやってきたさとし。説明会が始まる前の待機時間、彼に前に座った二人組の会話が聞こえてきた。

 

 

和也:

見てみなよ。この企業、海外にもいくつか拠点を置いてるぜ。てことは、海外赴任もあり得るのかな?

 

雄一:

最近じゃ新人のうちから海外に赴任することも珍しくないみたいよ。この会社だと、基本的に中国や東南アジアの拠点に出張できるみたい。

 

和也:

アジアってことは、やっぱり中国語とかのスキルが必要なのか?俺、第二外国語はスペイン語だったし、中国語はとてもじゃないけどできない……

 

雄一:

う~ん。パンフレットによると、基本的に英語でいいみたい。各国の言語は関心を持つ必要はあるけど余計な不安はしなくていいってあるから、英語でなんとかコミュニケーションできればいいんじゃない?

 

和也:

それでもどっちにしても英語が必要なのか……ああ、就活前にTOEICでも受けておけばよかったか……

 

雄一:

私はこう見えて、去年のうちにTOEICを受けてきたからね。ESの「特技・資格」の欄にはスコアが載って、充分アピールができるわ。

 

和也:

へぇ!!いいなぁ。俺も受けとけばよかったかな。でも、今受けても遅いかな……

 

雄一:

急いで受けてみたら?TOEICは大体毎月試験があるし、この企業のESに間に合わなくても、これから受ける企業のスコアには書けるんだし。何より、やって損はないからいいんじゃない?

 

さて、就活において、TOEICに力を入れるべき人はどんな人かわかりますか?

 

018. たかが「学歴」されど「学歴」の大罠 より


――久々にたいちと会ったさとし。たいちはある日を境に、新聞をよく読むようになっていた。二人の話題はとある新聞に載っていた、学歴による説明会への参加フィルターの話になっていた。

 

たいち:

その人はいわゆる偏差値では50くらいの私立大学の大学生なんだそうだ。当人は金融業界に就職したいと考えていた。で、就活サイトを通してとある金融機関の説明会に参加しようとしたんだけど、説明会が全日満席で予約ができなかった。けど、試しに。就活サイトの個人情報欄の「大学名」を偏差値の高い難関大学にしたら、満席だった説明会の予約日程が全部「予約可」になったんだってさ。

 

さとし:

学歴フィルターか。あるあるとは言われてはいたけど、やっぱりあるんだ。なんと言うか……まぁ、仕方がないことなのかな。

 

たいち:

まあな。この記事の人にとってはショックだったけど、それでも企業側の気持ちもなんとなくわかるよ。俺が人事だったら、企業にはできる限り優秀な人材に来てほしいからな。

 

さとし:

その人が優秀かどうかなんて、そうそうわからないもんな。そうなると学歴ってのは確かに、その人がどのくらい頭がいいのか、どのくらい勉強してきたのか……どのくらい努力してきたのかってことの一つの目安にはなるからな。便利と言えば便利か。

 

たいち:

そうだな。結局これも普段から努力ができる人間かどうか、で見られるんだろうな。……こういうフィルターがあることを考えると、俺らはまだいい方だよな。

 

さとし:

ああ、ウチの大学はネームバリューって点では日本じゃトップクラスの私大だし、フィルターかけられることもそうそうないだろ。週刊誌の大学評価ランキングも上だし。

 

たいち:

週刊誌は情報源としてはちょっと……いや、でも確かに、大手の企業になると出身大学で派閥とかあるらしいし、そういう評価ランキングもあながち間違いでもないのかもな。

 

さとし:

そうそう。ま、すくなくとも俺たちは学歴って部分を武器にできるんだし、そこだけは安心しようぜ!

 

皆さんは学歴についてどう考えていますか?

俺は学歴がある!から、何もしなくても、就活は楽勝だ!という特に高学歴の方。それ、誤解です。

 

019.「友達とご一緒に。そして取り残された」の罠より


――女子大学生みゆきは焦っていた。大学の友人たちがちゃくちゃくと就職活動において着々と選考の過程を進み、人によっては早くに内定を得ている中、いまだにさらなる選考に進めていないからだ。

 

みゆき:

どうしよう、書類選考がぜんぜん通らない……面接も、そんなに悪い感触はないのになかなか受からない……何がいけないんだろう。何が悪いんだろう……

 

ひろみ:

落ち着きなさいよみゆき。就活なんて初めての経験だから、きっとまだそれに慣れてないだけよ。アタシだってなかなかうまく行ってないんだから。焦らないで、ゆっくりやっていけばいいのよ。

 

みゆき:

それでもひろみは、面接も突破してるじゃない。私なんてまだ一次面接も通ったことがないんだよ?私は……きっとみんなと比べて、相当ダメなんだよ。

 

ひろみ:

そんなことないわよ。アタシだって、みゆきは面接に通るっていってくれたけど、結局最後はお祈りされて内定を貰えないんだもの。あんまり違いはないわ。

 

みゆき:

それでもひろみは選考が進むじゃない。先に進めない私は、どうしたらいいのか……

 

ひろみ:

多分、今まで受けた業界や企業が合ってなかったのよ。このあたりで一度、違う業界とか見てみるといいんじゃない?例えば……ここ。

 

みゆき:

……鉄道関連の企業?なんでここを?

 

ひろみ:

いや、アタシもなんだかんだで上手く行ってないわけだし、いろんなところを見てみようかなって。この企業は来週説明会をやるみたいだから、行こうかと思ってたの。みゆきも来てみない?

 

みゆき:

行く、行ってみる!ひろみがそう言ってくれるなら、もしかして私に合うかもしれない!

 

この罠にハマりたくなければ、早い段階から自分の「就活戦略」を持ち、友達や周りに流されず、じっくりやっていくのが良い。

就活が本格的に始まってしまったら、もう巻き込まれてしまうから。

 

021.「個別面接の延長線上にグループ面接」の罠 より


――とある企業の面接。みゆきはES選考を突破し、一次選考であるグループ面接に進んでいた。共に面接を受ける学生は自分を含めて5人。みゆきは緊張がほぐれないまま、面接を迎える。

 

みゆき:

(グループ面接か……できれば個人面接がよかった。個人面接ですら緊張するのに、大勢の中で話すなんて私には厳しいよ。最初に当てられたら絶対上手く話せない。二番か、三番目くらいがいいなぁ。当てられませんように……)

 

面接官:

それでは今から一次選考の面接を始めます。まず皆さんには簡単な自己紹介と、ご自身の長所をプレゼンテーションしてください。

 

みゆき:

(よかった。じゃあまずは他の人の話し方を見て、それを参考に……)

 

面接官:

順番は挙手で……では、私から見て一番右の女性からどうぞ

 

女子学生:

はい。私は京都大学法学部より参りました、○○と申します。私の強みはリーダーシップがあることです。学生時代には……

 

みゆき:

(き、京都大学の法学部?トップ校じゃない?大企業も狙えるのに何でここに来てるの?……うわ、しかも海外に留学してアメリカの提携大学で勉強した?け、経歴が学生とは思えない……)

 

面接官:

……ありがとうございます。では次の方……

 

みゆき:

(ここで上げよう。もう一人目の人のインパクトは越えられないけど、今ので今回の面接の具合はわかったから、それを真似して……)

 

面接官:

はい、では真ん中の男性が早かったので、あなたからお願いします。

 

みゆき:

(あっ)

 

男子学生:

はい、私は東京大学の経済学部経営学科より参りました、◇◇と……

 

みゆき:

(二番目をとられちゃった……し、しかもこの人、手芸サークルなの?私と同じサークルじゃない!あ、私と活動内容が被ってるし、アピールしたいことも近い……い、言うことがなくなってる……?)

 

「個別面接」を複数でやるのが「グループ面接」で、同じでしょ?という風に「認識」しちゃっているから、あら大変。そんなわけはないでしょ。。。