“ハマるな危険”「就活生」がハマってしまう59の罠で語られている「罠」は具体的にどのようにはまっていくのでしょうか?
友達や先輩の言葉に惑わされて「罠」にハマっていませんか?
ここでは「よくある風景」として罠にはまっている就活生の一場面をご紹介します。
――引き続き、M教授のたいちへのES添削は続く。次に教授が目をつけたのは長所、欠点に関する項目だった。
M教授:
この、「あなたの欠点を教えてください」という項目ですが……たいち君の答えは「一つのことに集中するあまり、周りが見えなくなること」ですか。
たいち:
はい。のめり込むとそれ以外が視界に入らなくなってしまうんです。何度か痛い目を見たこともありました。
M教授:
勤め人がそれでは確かに厳しいでしょうね。しかし……この君の解答、果たして欠点になっていますか?
たいち:
え?周りに注意が行かなくなるって、欠点ですよね?
M教授:
君にとってはそうかもしれません。しかし私には、「集中力がある」というふうに受け取れています。事実、周りが見えなくなるほどの集中力は、研究者にとっては素晴らしい資質です。むしろ、私も欲しいくらい……ゴホン、何でもありません。
たいち:
では……私は欠点ではなく長所を書いていたのでしょうか。
M教授:
その通りです。これでは「欠点を書け」という指定には沿っていませんね。
たいち:
そうか……ここも直さなきゃいけないんだ。どう直したらいいんだろう?
どうすれば「欠点」を欠点として書けるのでしょうか?
就活生にとって「答えづらい」質問であり、「罠にハマってしまう」質問。
たいち:
あ、さとし、スマホで何見てるんだ?
さとし:
知らないのか?JFEだよJFE。
たいち:
JFE?いや、知らないけど。
さとし:
Job Hunting For Everyone。略してJFE。就活生が互いに情報交換できるサイトだよ。ちらっと聞いたことはあるんじゃないのか?
たいち:
ああ、そういえば先輩がよく使ってたとか言ってたな……それ、そんなにためになるサイトなのか?
さとし:
ああ、書きこんでるのはみんな就活生だから、いろんな情報が手に入るぜ。例えば、先輩内定者の志望動機とかはESの参考にできるだろ。もっと使えるのは、実際の面接やグループディスカッションで問われたことがわかることだ。
たいち:
え、そんなことどうしてわかるんだよ?
さとし:
先の日程でもう受験してきた人が書いてくれてるんだよ。これを読めば、当日どんなことが質問されるのか、課題になったりするか、筆記試験の形態は何かがわかる。これはとことん使わなきゃ損だぜ。
たいち:
そうか。じゃあ俺も見てみようかな……あれ?これ、会員登録が必要なのか。面倒だな……
さとし:
でも一度登録すればそれからずっと情報面でアドバンテージを取れるじゃないか。損はしないさ。やってみれば……おっ、また新しい投稿があった。どれどれ、今度は何が……
たいち:
とりあえず、お前がJFEに夢中だってことはよくわかったよ。
皆さんは就職活動日記サイトをどのように活用していますか?
――かおりは新潟県に住んでいる女子大学生。就職を考えるにあたり、地元長野と東京、2通りの進路を考えていた。今日彼女は東京で開かれる大規模な就職活動イベントに参加するため、高速バスで東京にやってきた。
かおり:
ここが東京ビッグサイトか……すごい数の人。みんなスーツ着てるし、これ全員が就活生なのよね……と、とりあえず中に行ってみないと。
――ビッグサイト内に入るかおり。屋内ホールには多くの企業がブースを作り、行きかう就活生に声をかけて説明していた。
彼女はこの日、朝から夕方までビッグサイトでの合同企業説明会に参加した。
かおり:
こんなに沢山企業のパンフレットを貰えちゃった。やっぱり新潟よりもたくさん情報が集まったわ。人気の企業のブース説明にはなかなか入れなかったけど、また明日もイベントがあるし、そっちで今日の分まで話を聞こう。
――翌日も、かおりはビッグサイトのものとは別の就職活動イベントに参加した。ここでも彼女は多くのブースを回った。
かおり:
今日もこんなにパンフレットを貰ったわね。ブース説明は昨日よりは聞けたけど、それでもいくつかは聞き逃しちゃったなぁ……その分、今まで知らなかった新しい就活サイトにも登録できたし、それを知れたのはよかったなぁ。よし、この調子で東京にいる限り、色んな就活イベントに参加して、できるだけ多くの情報を手に入れて新潟に持って帰らなきゃ!!
地方の方は上京したら、できるだけ多くのイベントに参加するべきでしょうか?
やっぱり、“東京”に行くんだから、できる限り多くの就活イベントに参加しなきゃ”って思いますか?
――新聞を読むことにハマってしまったたいち。もはや趣味と化した新聞での情報収集を続けていると、後輩の潤から「ニュース時事検定試験」のことを聞く。
たいち:
「ニュース時事検定試験」?それはどんな試験なんだ?
潤:
ええとですね、新聞とかテレビのニュースにおける報道を読み取る力を検定する試験です。1級から5級までに分かれていて、小学生から大学生、社会人までのそれぞれのレベルに対応してるんです。僕も準2級持ってますよ。
たいち:
へぇー。すごいな。試験問題は難しいのかな?
潤:
そうですね。時事の問題ですから頭を使うより知ってるか知らないか、を問われてて、難しいか簡単かでは答えられないです。でもその分、頑張ればより確実に試験に受かることができるのでやりがいはありますよ。
たいち:
そうか。……就活をしてると、努力すればするだけ必ず成功に近づくことがどんなにありがたいかってことがよくわかるよ。でも潤、君は何だってそのニュース検定の資格を取ろうと思ったんだ?
潤:
就職活動に有利だからですかね。この検定の資格を持ってると、企業の覚えがいいみたいです。
たいち:
そりゃあ、社会人なら日々のニュースを追って知っている必要があるからなぁ。
潤:
ええ、実際にこの検定のホームページに行けばわかるんですが、実際に資格を取得して企業から内定を貰った人たちのコメントも載ってます。中にはテレビ局のアナウンサーもいて、この資格と、資格を取るまでに重ねた勉強が役に立ったと言ってます。
たいち:
いいなあ。資格は持っておいて損はないし、自信もつくし、やっぱり俺も就活前に資格を取っておくべきだったかなぁ。
皆さんはこの「ニュース時事能力検定試験」を知っていましたか?
そして、コレ、就活に活かせる資格だと思っていますか?
――5月に入り、就職活動は説明会から本格的に選考が始まる頃合いとなった。さとしもまた、一月前にESでの選考を突破した企業で、面接を受けることになった。
さとし:よし、今日は希望の業界、での個人面接だ。第一志望じゃないけど、それでも下調べはバッチリしてきた。企業のホームページはもちろん、説明会で話されていた事柄も全部復習してきたし、逆に質問をされた場合も想定してある。準備は万全だから、あとは上手く話せるかどうかだ。
面接官:それでは次の方、どうぞ。
さとし:よし、やるぞ。
面接官:それではまず、自己紹介をお願いします。
さとし:はい、私は~~
面接官:ありがとうございます。ではこれからいくつか、さとしさんに質問させていただきます。まず、さとしさんが学生時代に頑張ったことを教えてください。
さとし:はい、私が学生時代に力を入れたことは、ボウリング場でのアルバイトです。週に3日、都内の複合エンターテイメント施設でアルバイトをしていました。実際の業務は……
面接官:ちょっと待ってください。エントリーシートには学生時代に頑張ったことに、「子供たちへの絵本の読み聞かせるサークル活動」とありますが、これはどうだったのですか?
さとし:えっと……(ヤバイ、この企業のESには「頑張ったこと」にサークルのことを書いたんだった)もちろん、サークル活動も頑張っていました。ですが、アルバイトにも力を入れていたので……ついそっちを話してしまいました。混乱させてしまい申し訳ありません。
面接官:そうだったのですか。サークルだけでなくアルバイトも頑張っていたと。わかりました。では次に、弊社への志望動機を教えてください。
さとし:は、はい。(ええと……しまった、エンタメ業界の志望動機はESに、何社かに同じようなことを書いてた記憶がある!でも違いをだすためにちょこちょこ変えて書いたんだった!マズイ!また今度もESに書いたことと違うことを言ったら印象が悪くなる!!)わ、私が御社を志望する理由はですね……
皆さんは自分がESに書いたことを覚えていますか?
――本格的な面接による選考が始まりさとしもたいちも何社かの面接を終え、その結果を受け取る頃になっていた。今日もまた、彼らのメールボックスに面接の結果を知らせる企業からのメールが届く。
たいち:
そろそろ先週受けたIT関連の企業の面接の結果が返ってくる頃だ……
さとし:
それ、前に言ってたいまいち面接の感触がよくなかったってとこ?
たいち:
そう。どうにも面接を担当した若い社員とうまく話が合わなくってさ……って、うわ、メール来たよ。
さとし:
おお、どうなんだ?
たいち:
……あー、ダメだ。今後のご健勝をお祈りされた。
さとし:
ああ……残念だったな。
たいち:
ああ。やっぱり、あの面接官にハマらなかったのが響いたんだろうな。
さとし:
しゃーない。就活なんて所詮運ゲーだよ。ソシャゲのガチャみたいなもんだよ。
たいち:
それはホントにそう思う。まったく、SSR内定はいつ出るんだよ。
さとし:
出るまで回すしかないだろ。……どうにかなんないもんかね。
皆さんは、お祈りされたことをどう思いますか?
ソシャゲのガチャ、回し続けます?