就活のよくある風景 4


“ハマるな危険”「就活生」がハマってしまう59の罠で語られている「罠」は具体的にどのようにはまっていくのでしょうか?

友達や先輩の言葉に惑わされて「罠」にハマっていませんか?

ここでは「よくある風景」として罠にはまっている就活生の一場面をご紹介します。

 

 

 

022. 薬剤師の罠より


――とある中小食品メーカーの説明会で、さとしは東京大学の薬学部の学生と同じテーブルになった。なぜ薬学部の人が食品業界にと気になったさとしは、休憩時間に話を聞くことにした。

 

さとし:

なんというか……薬学部っていうと、医療業界の中の製薬会社しか受けないような気がしてたんだけど、意外と幅広く就活するんだね。

 

薬学部生:

というかむしろ、幅広く就活しなきゃいけないのさ。薬学部の製薬会社への就活に比べたら、東大に入ることなんてあくびが出るくらい簡単に思えるよ。

 

さとし:

そ、そんなに?

 

薬学部生:

少し大げさに言ったかもね。でも、あながち冗談じゃないよ。……まず、僕らには時間が足りない。もちろん、他の就活生もESとか説明会とか試験対策で時間が無くなるだろうけど、僕たちは例えば薬剤師になるための資格が必要になる。

 

さとし:

そうか、資格取得の勉強が必要になるのか。

 

薬学部生:

そう。例えば危険物取扱の資格とか、臨床検査技師とか……色々あるんだけど、こういう資格がないと、当たり前だけど薬は扱えない。まずここがスタートラインなんだ。でも、こういう資格を全部取れたとして、まぁESとか面接の段になると、また困ったことが起こるんだ。「受験を希望する学生がみんな同じ資格を持っている」ってね。

 

さとし:

あー、面接する側が学生を比較できないのか。

 

薬学部生:

そう。みんな同じ資格だから、少なくとも薬学に関わる能力は全く同じ。だから僕らは他の学生と差をつけられない。しかも、製薬企業は序列が他の業界に比べて厳格に決まっているから、明らかに序列が下の企業に、「ここは業界の中でも下の方だな」って考えた上で志望動機とかを言わなきゃいけなくなるんだ。……いや、モチベーションは上がらないよ。

 

さとし:

だから製薬会社以外の業界を見ているんだ。……東大ってネームバリューは、あまり効かないの?

 

薬学部生:

東大の薬学部生はほとんどみんなライバルだからね。一つの製薬企業があれば、何人もの東大薬学部生が群がるよ。

 

さとし:

……他に、アピールできるポイントは何かないのかな?例えばTOEICのスコアを上げてみるとか……

 

薬学部生:

それを考える前に、まず資格の勉強があるんだ。英単語より薬学の単語さ。

 

就活の中でも、ある意味「特殊」なもの。それは「薬学部のMR就活」。

薬剤師のMR就活は「差」を付けるために、他の学生とは違う「武器」を身に付ける必要があるのだ。 

 

023.「逆質問はオープンに」の罠より


――結局、みゆきの緊張はほぐれぬままグループ面接は続いた。一通りの質問の終わり、面接が終わりに近づくころ、面接官が口を開いた。

 

面接官:

それでは最後に、皆さんの方から質問はあるでしょうか。弊社、もしくは選考に関わること、何でもかまいません。ご自由にお聞きください。

 

みゆき:

(逆に質問をしてって言われても困るよ……何でもいいって言うのは一番困る質問なんだから。)

 

面接官:

みゆきさん、何か聞きたいことはありますか?

 

みゆき:

みゆきわ、私は……いえ、今のところはありません。(変な質問して悪い印象を持たれたらいやだし、やめておこう)

 

面接官:

そうですか……では他の皆さんはどうでしょうか。

 

男子学生1:

はい、では質問させていただきます。ズバリ、御社が求めているのはどのような人材でしょうか?

 

女子学生1:

御社と、競合他社との違いは何ですか?

 

男子学生2:

御社が海外、それもアジアに注力して展開している理由をお聞かせください。

 

女子学生2:

御社が今、力を入れたい事業は何ですか? 

 

皆さんは、どの逆質問が効果的な質問だと思いますか?

 

024.「じゃ、私議長やります」の罠より


――とある出版業界の企業の選考に参加したたいち。書類選考を通過し、二次選考として開催されたのは、グループディスカッションだった。

 

面接官:

それでは二次選考、グループディスカッションを始めます。今回は皆さん6名に、駅構内に新規出店する書店の企画について考えていただきます。出店する駅は東京駅。この一角に、新しく某有名書店の店舗が入ります。皆さんはこの店舗を繁盛させるために、机の上に置かれた資料にあるデータやルールをもとにディスカッションしていただきます。制限時間は40分です。それでは、始めてください。

 

たいち:

ええと……すいません、私は今日初めてグループディスカッションをやるんですけど、こういうのってどういう風に進んでいくんですか?

 

参加者1:

そうですね。まずは役職を先に決めていくことから始めますね。

 

たいち:

役職?

 

参加者2:

議長とか書記とか、タイムキーパーとかですね。基本的に役があるのはこの3種類くらいで、あとは役職のない普通の人です。

 

たいち:

そうなんですか……では、私は書記をやってもいいですか?初めてなので、メモを取ることでグループに貢献したいと思います。

 

参加者1:

わかりました。ではお願いします。他にやりたい方がいなければ、私は議長をやりたいのですが、皆さんよろしいですか?

 

参加者2:

はい。よろしくお願いします。では、私はタイムキーパーをやります。では議長、役も決まりましたし、早速会議を始めましょう。

 

参加者1:

そうですね。ではまず、今回の課題を達成するのに必要なルールを確認して、それからいくつか定義づけを行いたいと思います。たいちさん、メモをお願いしますね。

 

たいち:

はい。私が皆さんの発言を書き留めますので、皆さんはどんどん議論をお願いします。

 

グループディスカッションにおいて、大切なことは何だと思いますか?

「議長や、書記をやらないとアピールできない!からやらないといけない」と思っていませんか? 

完全に罠にハマってしまっています。

 

025.「15分前登校」の罠より


――就職活動が本格的に始まって二か月あまり、この日のさとしは企業の一次面接を控え、出かける準備をしていた。

 

母親:

ねえアンタ、今日の面接は2時半からだったわよね?もう午後1時になるけど、ゆっくりしてて大丈夫なの?

 

さとし:

大丈夫だよ母さん。今くらいに出れば充分に間に合うさ。電車に問題があっても別の路線を使って行くルートの検索もしてあるし、何も問題ないって。

 

母親:

そう?でも、早く行っておいて損はないんじゃないの?先に会社のビルに入って待ってるとかして。

 

さとし:

いや、あまりに早く着くとまだ前の面接が終わってないんだよ。それに、何十分も前に行って、会社の人が人を入れてくれると思う?

 

母親:

そういうものなのね。じゃあ、アンタはどのくらいを目安に出かけてるの?

 

さとし:

大体面接の時間の10分15分前には着くようにしてるよ。このくらいなら会社のオフィスに入って待機させてくれるし、面接で言いたいことの確認とかもできるしね。

 

皆さんは、予定の時間の何分前に行きますか?

「45分前」が素敵です。なぜだと思います?

 

027.「幸せな悩み」の罠より


――早期にインテリアを扱う企業から内定を勝ち取った太郎。その後も彼は就職活動を続け、追加で3つの企業から内定を獲得した。

 

太郎:

さて、どうしようか。獲得した内定は三社。インテリア用品を扱う会社が2つ。そしてITメディア系の企業から1つ。……就活が始まる前は不安しかなかったけど、こんなにたくさんの企業から内定が貰えるなんて思ってもみなかったな。

 

第一志望だった建築や鉄道関連の企業は最後に面接を受けてから時間が経ってるってことはダメだったってことかな。まぁ充分だ。むしろこれ以上欲をかいても……

 

ん?電話?誰からだ……はい、もしもし……あ、○○建設の。先日は面接に読んでいただきありがとうございました……え、私が最終面接に!はい、はい、かしこまりました。是非伺わせていただきます。はい、では当日に。

 

……マジか。これはもしかしたら建設業界にも行けるかもしれない。……でも、もう落ちたと思った業界に今更来てくれって言われても……インテリアもITメディアも面白そうだしな……どうしようか……

 

 

皆さんは内定を複数個獲得したら、どのような判断基準で進路を決めますか?

 

028.「副部長」の罠


――M教授にESの悪い点を指摘されたたいち。ゼミが終わり、彼は教授に作り直したESを見せていた。

 

たいち:

教授。この前教授に指摘されたところを意識して書き直してきました。また見て意見を聞かせてください。

 

M教授:

そういうことは就職課の人に相談した方がいいと思いますが……まぁ、この間あなたに学業以外のことで意見したことも事実です。君の研究の進捗と出来具合も本日把握できたことですし、それに免じて見ることにしましょう。

 

たいち:

ありがとうございます。これなんですけど……

 

M教授:

ふむ。前回よりもずっと見やすく書かれています。ちゃんと定規を使って真っすぐ適度な字を書けるようにしたのですね。

 

たいち:

言われてみれば、確かに前のESは自分自身でも見づらいものでした。どうして気づかなかったのか……

 

M教授:

「0」という数字の概念は、7世紀にインドの数学者が使うまで、一般には意識されていませんでした。言われてみれば当然のことも、言われなければわからないものです。……ふむ。確かに、読みやすい文章にはなりました。しかし、また別の問題が出てきたと思います。

 

たいち:

え、どんな問題でしょうか。

 

M教授:

例えばこの、自己PRの部分です。「私は大学文化祭の実行委員会に所属し、副委員長として文化祭を……」とありますが、たいち君、これは嘘ではないですか?君は文化祭の委員会の委員などやってはいないでしょう?

 

たいち:

どうしてわかったんですか?

 

M教授:

初歩的なことですよ、たいち君。文章を読むと、他の項目や部分に比べて、この文化祭の副委員長として活動していたという文章の記述がどうにも薄いのですよ。はっきり言えば、具体的活動内容や苦労したことがおぼろげにしか書かれていない。どうですか?

 

たいち:

その通りです……自分の経験ではアピールが足りないと思って、そこはあえて嘘をついて内容を底上げしました。……バレるものなんですね……

 

M教授:

正直に言うと、私が見破れたのは昨年の秋、ゼミで見た君がそれほど忙しそうにしていなかったことを記憶していたこともあるのですが、それを抜きにしてもこの文章は内容が薄い。人事の人から見ればまず間違いなくバレてしまいます。この部分はどうにかして変えた方がいいと思いますよ。

 

皆さんはどの程度、ESで自分を「盛り」ましたか?

就活は「嘘に満ち溢れている」と、昔、人事部の方が仰っていました。。。